イベント企画
Society 5.0社会のためのコンピューティング技術をどう生かすか?
2023/9/8 13:10-15:40
第1イベント会場
【セッション概要】 JST CREST 「Society5.0を支える革新的コンピューティング技術」研究領域は、第一期採択の研究課題が終盤に差し掛かり、多くの成果が得られています。これらの技術をどのように生かしてサステナブルな社会を実現していくかについて、特に成果が得られた技術を取り上げて紹介するとともに、これらを組み合わせてどのようにサステナブルな社会を作っていくか、その次の段階について議論します。
13:10-13:40 講演(1) JST CREST 「Society5.0を支える革新的コンピューティング技術」の概要
坂井 修一(東京大学  副学長 附属図書館長 情報理工学系研究科教授)
【概要】 私たちの社会は、情報技術があらゆるところに浸透した超スマート社会(Society5.0)に変貌を遂げようとしています。超スマート社会の情報インフラは、巨大なクラウド群と無数のエッジから成ると考えられます。多くの場合、エッジにはセンサやアクチュエータがあり、これらを制御する超小型高性能コンピュータとネットワークインタフェースが備えられています。クラウドは、物理的に分散された多数のサーバとなりますが、論理的にはさまざまなサービスの総体として抽象化されることになると考えます。
 このためエッジ、クラウドのいずれにおいても、大量かつ多様なデータを扱うことになるため従来の情報処理技術の高度化などに加えて、人工知能(深層学習など)、量子計算、光計算などがキーテクノロジーとなります。現実の諸問題に一定の時間内で回答するリアルタイム技術も、多様化する社会のニーズに答えるべく高度化する必要があります。その上で、これらを統合し、システムとして高効率・省エネルギーで機能させるための新しい回路技術、アーキテクチャ技術、ソフトウェア技術が必要となります。
 登壇者の進めるCRESTは、こうした近未来の超スマート社会を念頭に、従来技術の単純な延長では得られない新しいコンピューティング技術を研究開発することを目標とします。ここでは、本CRESTの戦略目標と主要な成果、将来展望などについて報告いたします。
【略歴】 1981年、東京大学理学部情報科学科卒業
1986年、東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了、工学博士。
    電子技術総合研究所研究員
1991年、マサチューセッツ工科大学招聘研究員(-1992年)
1996年、筑波大学助教授
1998年、東京大学工学部助教授
2001年、東京大学大学院情報理工学系研究科教授
2006年、情報処理学会理事(-2008)
2008年、現代歌人協会理事
2010年、情報処理学会フェロー
2011年、電子情報通信学会フェロー
2011年、日本学術会議連携会員(-2020)
2013年、東京大学大学院情報理工学系研究科長(-2016)
2015年、電子情報通信学会理事
2016年、電子情報通信学会情報・システムソサイエティ会長(-2017)
2021年、東京大学副学長・附属図書館長、国立大学図書館協会会長
受賞歴:
1989年、情報処理学会研究賞
1991年、情報処理学会論文賞、日本IBM科学賞、元岡記念賞
1995年、市村学術賞、IEEE論文賞
2012年、大川出版賞
2018年、電子情報通信学会業績賞
13:40-14:05 講演(2) デジタルツイン実現のためのグラフアルゴリズムと産業応用
藤澤 克樹(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 教授)
【概要】 最新の数理・情報技術を活用することによってデジタルツイン(フィジカル(実世界)及びサイバー空間)の構築を行い、都市や地域及び産業界の抱える諸課題の解決を行っていく, いわゆる Society 5.0 実現の試みが推進されている.
これらの中心となる概念であるサイバーフィジカルシステム(CPS)においては,実社会のデータ(ヒト・モノ・カネ・情報などのモビリティ)から,サイバー空間での最適化計算やシミュレーションを行い, その結果を実世界に反映させることによって,新しい産業の創出,コストや廃棄物排出の削減,働き方の改善に寄与するアプリケーション開発が多くの産業界(社会インフラ,製造業,小売系など)から期待を集めている.
本講演ではデジタルツインのための最新のグラフアルゴリズムなどの数理・情報技術に関する研究及び具体的な産業応用について解説を行い, 現在推進中のスマート工場構築プロジェクトについても紹介を行う.
【略歴】 1998年3月 東京工業大学大学院 情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 博士課程修了 : 博士(理学)
1998年4月から京都大学, 東京電機大学, 中央大学を経て 2014年4月から九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所教授. 専門は数理最適化や高性能計算及び産業アプリケーションの創出であ り, 多くの民間企業とデジタルツイン技術の開発と応用に取り組んでいる. 文部科学大臣表彰科学技術賞 (研究部門) や Graph500 ベンチマーク世界1位 (通算 16 期) などの多くの受賞歴を持つ.
14:05-14:30 講演(3) MEC用マルチノード統合システム開発の社会実装
菅谷 みどり(芝浦工業大学 工学部 情報工学科 教授)
【概要】 Society5.0 が目指すサステナブルな社会では,高度な技術による社会課題の解決を第一に挙げており,Multi-Access Edge Computing (MEC)プロジェクトでは,無線基地局近傍に配置された計算資源(Edge) に対して,クラウドへのオフロードが困難なリアルタイム処理や大容量データ処理により目的を達成することを目標としている.我々が提案するMECはEdgeに配置されたMKUBOS(FPGAクラスタ)等の省電力ハードウエアアクセラレータや,高性能ハードウエアを統一的に管理・活用することで,Society5.0 に期待される高度なAI処理や高スループット処理が期待されるの5Gアプリの利活用を促進する.本講演では,本MECプラットフォームおよび,その社会実装に向け現在取り組みを紹介する.具体的には,高齢者施設での「人の気持ちに応じて声がけを行う」声がけロボットその他,介護現場の支援に向けたロボット処理のMECへのオフローディングを想定した社会実装などの取り組みを紹介しつつ,サステナブル社会に向けた革新技術活用について議論する
【略歴】 2007年 早稲田理工学研究科,情報/ネットワーク専攻(博士課程)卒業後,助手, 科学技術振興機構,ディペンダブル組込みOS研究開発センター,CREST研究員を経て,横浜国立大学,講師,CREST研究員,2013に芝浦工業大学,工学部,情報工学科 准教授.2017年より同大学,教授. 2019年よりMEC, エッジコンピューティング及び社会応用研究に従事.
14:40-15:05 講演(4) 学習/数理モデルに基づく時空間展開型アーキテクチャの創出と応用プロジェクトの社会実装
川村  一志(東京工業大学 科学技術創成研究院 特任助教)
【概要】 JST CRESTプロジェクト「学習/数理モデルに基づく時空間展開型アーキテクチャの創出と応用」では、組合せ最適化問題を高効率に解くアニーリング計算技術、ならびに、それを具現化したアニーリングプロセッサを研究開発してきました。本講演では、最先端プロセッサ「Amorphica」を含むアニーリング関連技術を紹介するとともに、これらの社会実装に向けた考えや取り組みを述べ、今後の展開について議論します。
【略歴】 2012年早稲田大学情報理工学科学士、2013年同大学大学院情報理工学専攻修士、2016年同博士(工学)。
2018年より早稲田大学情報通信学科講師(任期付)。
2020年より東京工業大学科学技術創成研究院AIコンピューティング研究ユニット特任助教。
JST CRESTの研究員としてアニーリングプロセッサの研究に従事。
15:05-15:30 講演(5) 地理空間情報を自在に操るイジング計算機の新展開プロジェクトの社会実装
高山 敏典(株式会社ゼンリンデータコム 開発統括本部基盤開発本部基盤第二開発部 システムアーキテクト)
【概要】 地理空間情報を自在に操るイジング計算機の新展開プロジェクトの社会実装について紹介します。
地理空間情報システムにおいては組み合わせ最適化を高速に行う必要性が、MaaS、都市計画といった社会課題の台頭によって大きくなっている。
その対策としてイジング計算機の活用が期待されているが、実用的アプリケーションとして組み込むためにはデータサイズの削減、イジング式の簡略化、システム構成の工夫が必要である。
上記課題への取り組みの実例として地図データとイジング計算機を利用した

①最適旅行計画
②最適配置計画

の2アプリケーションを紹介する。
【略歴】 横浜市立大学文理学部卒業
20002年より株式会社ゼンリンデータコムにおいて地理空間情報システムの運用、開発、研究に従事。
主に住所検索、ルート探索、プローブ分析、組み合わせ最適化を担当する。